今日もまた呟き

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ジョーのあした



ワシの青春でした。piccoloです。

90年代のボクシング界を引っ張って行った辰吉丈一郎。そのドキュメント映画が公開されました。10代の頃、彼に魅せられました。イケてなかったワシ、その部分を埋めるかの様に彼の姿に依存しました。ワシもあんな風に格好良い言動が出来たら。そういつも思っていたのです。

それから20年の月日が流れ、この映画が公開されます。インタビュー形式の展開。いや、全部インタビュー。そんな贅沢な辰吉映画を見てきたのです。

20年前の、とても懐かしい辰吉節。この頃から辰吉の言動は変わりない。ただ、現在の辰吉…完全にお爺ちゃん。辰吉節も健在。でも、お爺ちゃんが喋ってる。45歳なのに45歳に見えない。完全にパンチドランカーな辰吉の姿があった。

なぜこの映画を上映しようとしたのか?


ネタバレします。





















引退したら映画化しようとしていた監督。しかし辰吉は引退しない。しびれを切らし、息子がボクシングデビューするのを機に、映画化に踏み切ったそうです。起承転結なく、初めから終わりまで辰吉のインタビュー。ファンにはたまらない映像だ。しかし、このインタビューを望んでいる人がどれだけ居るのか疑問に思った。辰吉丈一郎がボクサーだったという事すら、知らない人も多くなってきているのではないだろうか?4~5年で引退するであろう。その時に公開しようとインタビューを取り始めた阪本監督の誤算だったのであろうが、上映のタイミングが遅れたのは痛かったと思わざるを得ない。それほど辰吉丈一郎な映画だ。辰吉しか出てこない。彼の家族の姿もあるが、完全に辰吉丈一郎物語だ。辰吉を知らない人は、全く面白くないだろうと言う感想を抱く。その理由の1つに、試合のシーンが少ない事がある。少ないと言うよりも、殆ど試合の映像はないと言った方が良いだろう。唯一、晩年のらしくない試合のシーンしかない。

テロップで、対戦相手が流れる為、いつ撮ったインタビューかは分かる。せめてその試合、その試合の映像を流してくれれば、辰吉の言葉の重さも違って来るように感じたのだが、大人の事情の為か、試合の映像は皆無だ。歴代の試合が見られれば、それだけで見る価値があり、凄いボクサーがいた事を証明できるのに、残念で仕方がない。辰吉丈一郎は現役であると公言し続けているが、今の辰吉に、20年前の辰吉の真似は絶対に出来ない。

やはりこれが辰吉だろ。



生の辰吉丈一郎。思ったより小さい。目の前を通り過ぎる彼の姿に、興奮よりも冷静な思考が働く。かつて依存した人間が、朽ち果てていく事に、自分の位置を図ろうとしたのだ。

以前TBSの番組で特集が組まれた。その密着ドキュメントに、かつての辰吉の姿はなかった。その時に、人は劣化するのだと気付いた。カッコ良い一時代を築いても、それは永遠ではないと悟るのに十分な番組だった。華麗だった辰吉のボクシングは見る影も無く、ただただサンドバッグの様に殴られていた。昔だったらノーガードでかわしていたであろうパンチをこれでもかと浴びていた。

この番組だ。



あの試合後から、話し方がおかしくなった様に感じる。映画でも残酷な程に、その経過が伺える。

映画上映後に、阪本監督と辰吉丈一郎が舞台挨拶で現れた。目の前を通り過ぎる事に興奮と複雑な思いがあったが、やはり嬉しい。ヨレヨレのジャージ姿の辰吉に、せめて洗濯後のパリッとした物を着ればとも思ったが、これが辰吉。ブレない生き様に共感する。

近くにいた関係者に写真を撮って良いか確認するとNGが出た。仕方なくカバンにカメラをしまった。しかし、客席中央では写真やムービーを撮る人が見える。確認せずに撮れば良かったと少し後悔したが、ルールを守れた事に安堵した。自分は哲学の木を伐採させてしまう人間ではない事が証明出来たからだ。

舞台挨拶を興味深く拝聴する。マイクを口に近づけない辰吉。全く声が聞こえない。監督が何度も彼の腕を上げていた。短い時間で挨拶は終了するのかと思っていたが、思ったよりも長く感じた。舞台挨拶が、この様な形で行われるという事を初めて知った。現役に拘る辰吉が最後に〆た言葉は、「必ずチャンピオンベルトを巻きます。」だった。場内から拍手が巻き起こっていたが、ワシは少し冷ややかな目でその場を見守っていた。でも、チャンピオンに返り咲く。この言葉に魅せられるファンは少なくないはずだ。辰吉物語はまだまだ続く。

舞台挨拶を終え、再び目の前の通路を通り過ぎて行く。隣に座っていた男性が急に立ち上がり辰吉に握手を求めた。これに応じた辰吉、次の瞬間彼がよろめいて転倒しそうになった事を見逃さなかった。もしかしたら、ボクシングどころではなく、私生活でも支障が出るほどの症状なのかもしれないと、余計な心配をしてしまう。きっと辰吉も「余計なお世話や」と言うはずである。もう死ぬ以外にボクシングから足を洗う事は出来ないのではないかと言う思いが込み上げる。

辰吉が見たいのだが、見たいのは老いた辰吉ではない。グレグ・リチャードソン戦が絶頂期だと考えると、それまでの試合が辰吉だ。そこから雑草のように何度も立ち上がった男。しかし、もう休んでくれ。もう十分だよ。

ワシは辰吉丈一郎を卒業する事にする。

piccolo
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